2014年 06月 01日
ベルリン飛行指令 |
著者佐々木譲は60年代のF1レースに興味を持ち、参戦していた当時のホンダの関係者に聞き歩きをしていた。そしてめぐり逢った元本田技研の取締役であった浅野敏彦から、この不思議な物語を聞いた。浅野は85年に胃ガンで亡くなったが、あるひとつの疑問とともに、多くの覚書や手紙、公文書のコピーなどたくさんの資料が、佐々木譲の手許に残された。その疑問とは、第2次大戦中に日本海軍の零式艦上戦闘機、いわゆるゼロ戦がドイツに飛んだ事実があったのではないか、というものである。
佐々木譲の太平洋戦記もの三部作は「ベルリン飛行指令」「エトロフ発緊急電」「ストックホルムの密使」(いずれも新潮文庫)である。開戦の年、昭和16年生まれのボクは、太平洋戦争を素材とした戦記物には、手を出しにくい世代なのである。しかしこの歳になってようやく面白いと思う本に出会った。それがこの佐々木譲の三部作なのだ。
by kumamotoyukioch
| 2014-06-01 21:52
| 文学