2014年 06月 02日
「時をかける少女」の続編 同名の映画ものがたり |
未来人の深町一夫はタイムトラベラーである。生活に関係する人々の記憶に自分の影を埋め込んで、あたかもこの地と人々のなかで育った普通の男子学生として、今1972年の或る街で高校生活を過ごしている。しかし未来へ帰るべき時が来たので、恋人の高校生芳山和子をはじめ、みんなの記憶を消して1972年から消える。芳山和子は、ラベンダーの匂いを媒体にして未来人深町一夫の、おぼろげな恋人としての記憶を持ちながら成人する。そして時は流れて2010年になる。
芳山和子は、いつか素晴らしい恋人が未来から現れることを夢見ながら、薬学を研究する科学者になり、タイムワープの薬をすでに開発している。そして時間と人が動き、ドラマが再び始まる時が来た。あの時の記憶はすべて消されたはずなのに、封筒に入った一枚の写真と1本のラベンダーが見つかる。芳山和子の幼なじみのゴロちゃんが、古い旅館の深町さんの部屋から見つけて来たのだ。未来人は写真に写らない。だが、たった一枚だけ、温室のラベンダーの前で詰め襟の制服姿の深町一夫とセーラー服の芳山和子がならんで写っている写真だった。2010年の芳山和子はその写真を見て、深町一夫と再会するその時が来たことを予感する。タイムワープの薬もある。しかし突然の交通事故で芳山和子は入院してしまう。あの人に会いに行かなくては。芳山和子はうわごとでつぶやく。
2010年。18歳の誕生日を迎えた芳山あかり(仲里依紗)が、交通事故で入院した母親芳山和子(安田成美)の代わりに、未来人・深町一夫に会うため、1974年にタイムワープする。実は母から教えられた1972年2月の土曜日の理科実験室に戻るはずだったのに間違えてしまった。芳山あかりにはそんな天真爛漫なところがある。ワープして落ちた理科実験室で男子学生・涼太(中尾明慶)と知り合い、彼の協力を得ながら、写真を手がかりに、女子学生の母親芳山和子と未来人である男子学生の深町一夫探しが始まる。写真を見て芳山センパイを覚えている学生たちはいても、横に立つ深町一夫を覚えている人はいない。
芳山あかりは1974年のセーラー服の母親を学園に訪ね、未来からタイムワープしてきた深町一夫に会い、2010年の芳山和子の再会を願う愛のメッセージを伝えることもできた。芳山あかりが元の時代2010年に帰らねばならない時がきた。8ミリで2011年を舞台にした未来空想映画を撮るのに夢中だった男子学生涼太も父親が危篤で秋田に帰る。別れる前に涼太は芳山あかりを映画のラストシーンに登場させることを思いつき、友人の長谷川政道から8ミリカメラを借りて、桜が満開の道を歩く芳山あかりの後ろ姿を撮る。あかりが自分の時代に戻って、この桜の道に立つ時は、まだ18歳のままである。しかし涼太がこの桜の下で芳山あかりに再会する時、つまり2010年には、涼太は既に56歳になっているはずだ。それでもいい、それでも会おうと再会を約束するふたりだった。涼太は別れの時になって芳山あかりに未編集の8ミリフィルムを預ける、ぜったいになくすなよ。
帰省する恋人の涼太が乗った秋田県能代行きのバスを追って芳山あかりが、走る走る走る。実はこのバスは事故で乗客全員が死亡する運命にある。36年後、2010年の芳山あかりは母の入院した病院の待合室でこの能代行きバスの悲惨な事故の思い出を綴るニュース特番を見たことを思い出したのだ。横にいたゴロちゃんが、おれ、スキーに行くはずがキップを忘れてこのバスに乗れなかったんだ。もし乗っていればこの世におれはもういなかったはずだ。1974年の芳山あかりは、バスに乗り遅れたゴロちゃんと、いますれ違ったばかりだ。芳山あかりは、未来2010年の記憶を思い出す。このバスは事故で乗客全員が死亡する運命にある。待って!そのバス止めて!走る走る走る。芳山あかりを後ろからつかんではなさないのは未来人深町一夫だった。未来から来たものは過去を変えちゃいけないんだ。
深町一夫は芳山あかりのポケットに涼太の8ミリフィルムを消さずに残す。入院中の芳山和子の前に姿を見せて再会の喜びを穏やかに確かめあう。ベッドにはラベンダーが1本残され、すべての記憶は深町一夫によって消される。芳山あかりは、めったに戻って来ない風来坊の写真家長谷川政道が自分の実の父親であることを知っている。ほんとうは1974年に涼太の友人長谷川政道と母親の静かな恋人の関係も知ったはずだが、深町一夫によってその記憶は消されてしまっている。芳山あかりは、長谷川政道から8ミリの映写機を借りる。ふうん、お前そんなものに興味を持っているのか。フィルムのタイトルは「未来の惑星」。むかしのダチにそんな映画撮ってたやつがいたなあ。芳山あかりは友人たちと映画を見る。未編集のラストシーンには、あかり自身が背を見せて桜の道を歩いている。芳山あかりは自分だと気づかない。まだ生まれてなかったはずの自分がフィルムに写っているなんて理解しようがない。そしてこの映画のラスト。同じ桜の道を同じ白いコートで芳山あかりが歩く。56歳の涼太が向こうから歩いてくるはずの桜の道だった。
映画「時をかける少女」2010
キャスト
芳山あかり:仲 里依紗
溝呂木涼太:中尾明慶
芳山和子:安田成美
浅倉吾朗:勝村政信
深町一夫:石丸幹二
ゴテツ/長谷川政道:青木崇高
1974年の芳山和子:石橋杏奈
1974年の浅倉吾朗:千代將太
1972年の深町一夫:加藤康起
スタッフ
監督:谷口正晃
脚本:菅野友恵
原作:筒井康隆
主題歌:「ノスタルジア」いきものがかり
挿入歌:「時をかける少女」いきものがかり
この映画はリメイクに名作なしといわれるなかにあって原作をしのぐほど面白い作品です。とにかくボクの心をとらえる胸キュンは女優さんの魅力だけではない。それはいったい何だろうと確かめるために、映画を見た印象から、あらすじを自分の言葉で捕まえてみようと思ったのでした。本文はすこし長くなりますが、不思議なファンタジーを読者にとってもわかりやすくなるように、自分の言葉でまとめてみたかったのです。自分なりの文章作成のトレーニングだと思うのですね。
by kumamotoyukioch
| 2014-06-02 20:37
| 映画