2014年 11月 29日
高倉健・追悼映画「冬の華」 |
事態は「ぬきさしならぬ」ところまで押し詰まった。身の回りをきれいにした。思い残すことは何もない。さあ「けり」をつけに行くぞ。「死んでもらいます」とささやいてワルの親分に身を寄せる。だいたいそのあたりで画面右下からスウッと、「完」とか「終」の文字が、急ぎ足で立ち上がる。長い映画で盛り上がってきた緊張が、いきなりストンと落ちて、あっけない幕切れ。だから観衆はその続き、「健さん」の後ろ姿を自分の背中に背負って、映画館を出る。「いま、渡世の義理から、筋を通しました」とつぶやきながら、妙にさばさばと自首でもするような気分で、縄のれんをくぐる。カウンターのなかで倍賞千恵子が熱燗をつけてくれる。そんな時代がありました。(きのう高倉健・追悼映画「冬の華」(録画)を観ました。高倉健も田中邦衛も油の乗ったいちばんいい年齢。池上季実子のセーラー服がかわいい。クロード・チアリの哀愁のギターがいい。脚本に骨がある理想的な「やくざ映画」でした)。
by kumamotoyukioch
| 2014-11-29 09:24
| 映画