2014年 12月 08日
舞台上手の裏方 |
「ミ・ベモル サクソフォンアンサンブル」の、いずみホール定期では、メンバーたちは曲ごとに舞台の両側から入退場します。コンサートが始まるとボクはずっと上手袖(客席から見て右側)に着いて、舞台ドアを開けたり閉めたりするのが仕事でした。小窓から舞台をのぞき、明かり(舞台照明)が入るのをきっかけに、重い扉を手前に引いて舞台への出入口を開けます。上手側はテナー、バリトンなどの奏者。さっさと急ぎ足で舞台へ出て行くのを見届けて扉を閉めます。演奏が終わればみんな戻ってきますから、タイミングを見てまた扉を開きます。この動作のなにげない繰り返しです。けれどボクには、この舞台扉を開閉するたびに、暗い”袖のたまり”にぱあっと明かりが差し込み、また舞台に明かりを封じ込める、まるで舞台という「おもちゃ箱」のフタを開けるような夢見心地だったのです。歳をとりましたから、あの舞台扉は、だんだん重くなってしまいました。だから今年から「夢のおもちゃ箱」の扉を開く後継ぎのだれかさんにも、この密かな楽しみをそっと教えたくなりました。
今年アドルフ・サックス生誕200周年、「ミ・ベモル」は創設25周年を迎え、明日12月9日には東京公演、10日名古屋、そして12日が大阪いずみホールです。
by kumamotoyukioch
| 2014-12-08 10:22
| 音楽