2013年 01月 29日
諸行無常のルーツ「方丈記」 |
昨年2012年は鴨長明「方丈記」が書かれて800年というメモリアル・イヤーでした。京都の仲間からそれにちなんでなにかイベントのアイデアはないだろうかと電話をもらって初めてそのことを知りました。けれども東日本の大災害があったばかり、鴨長明の世界観をどのようなイベントに仕立てることができるでしょうか。とてもかなわぬことでした。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみにうかぶうたかたはかつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖(すみか)と又かくのごとし」。この有名な書き出しは若い頃に暗唱したのでいまでも言えるのですが、さてこの本の内容はといえば、勉強したこともなく、なにも知らないというのが正直なところです。地震、火事、竜巻、飢饉など大災害について見事に活写した書として漠然とした印象を持つだけです。諸行無常という言葉が流行するいまだからこそ、平家物語に先立つ仏教的な無常観を鴨長明「方丈記」に求めることに意味があるのかもしれませんが、先入観にとらわれていて、この本を取り上げることはとても気が重いのです。
by kumamotoyukioch
| 2013-01-29 21:35
| 文学