2013年 04月 07日
天海祐希「女信長」 |
天沼裕子指揮大阪フィルの演奏で関西二期会の歌手による「かんでんオペラ」、プッチーニ「トスカ」を旧フェスティバルホールで上演したのは1998年5月のことだった。政治犯チェーザレ・アンジェロッティが生きていたというこれまでにない発想で「語り」の脚本を書き、俳優の村井国夫さんにアンジェロッティ役をお願いしてオペラのストーリー展開をつかさどる独り芝居を演じていただいたのだった。このとき、誰からも文句が出なかったのは、アンジェロッティが生き延びていて不都合な状況はなにもなかったからだ。2013年4月5、6日の2夜にわたって放送されたテレビドラマ「女信長」を見ていて、ボクは昔やった「トスカ」を思い出していたのである。
さあこのたびは、信長を生き延びさせるために信長を女に仕立て上げた直木賞作家佐藤賢一氏の原作によるテレビドラマである。本能寺の変で織田信長の首が見つからなかったらしい。それは信長がトンネルを抜けて南蛮寺に逃亡しようとしたのだったが、信長はそこに閉じ込められて死ぬ。それは秀吉の策略だったという伝奇小説がある。その小説では信長を本能寺で生かしたが、その後も生かし続けることはできなかった。それは織田信長が当然のことながら男だったからだ。今回は男信長は死ぬが(首がないつじつまがあう)女信長が生き延びる。同じく死んだと見せかけた明智光秀と手に手を取って逃げて、女信長が救われる。明智光秀もまたちゃんと生き延びていた話があるから都合がいい。18年の叡山暮らしの末、天海僧正と名乗って家康、秀忠の前に現れるという話があって、娘細川ガラシャの復讐のために秀頼を憎み続けるという。この光秀をボクは半ば歴史として信じている。
徳川家康は関ヶ原で死に、それ以後の家康は影武者だったという話や、秀頼が大阪城夏の陣から舟で脱出した話や、石田三成の知将、島左近が生きていた話や、柳生十兵衛が傀儡師の頭領に切られて果てたという話などが好きである。いま私たちが知っている日本の歴史がほんとうに真実なのかどうかの確かな保証はない。歴史は人の手によって書かれたものだから疑ってみてもいい。あるいは事件の流れは歴史に書かれた通りだけれど、その時交わされた歴史人物同士の会話は、私たちが知っている流れとはぜんぜん違った内容であったかも知れない。
もしかすると伝奇小説に書かれたドラマが歴史のほんとうにほんとうの真実だったかもしれない。このドラマを見終わった後、信長が女だったという奇想天外な発想をあなたは信じるかも知れないといううたい文句は本当だった。テレビドラマ「女信長」は自分と波長が合って最高に面白かった。男役と女役を演じた天海祐希の颯爽とした信長は、彼女の代表作となった。たくさんの素晴らしい共演者が役所にぴたりとはまっている。戦闘場面は迫力があり、衣装も美術も群を抜いて見事だ。大河ドラマのNHKが1年かけてもたもたしているドラマ作りをフジテレビはたった2晩で堪能させてくれた。随分沢山のコマーシャルをカットした録画VTRは大切にしたい。
さあこのたびは、信長を生き延びさせるために信長を女に仕立て上げた直木賞作家佐藤賢一氏の原作によるテレビドラマである。本能寺の変で織田信長の首が見つからなかったらしい。それは信長がトンネルを抜けて南蛮寺に逃亡しようとしたのだったが、信長はそこに閉じ込められて死ぬ。それは秀吉の策略だったという伝奇小説がある。その小説では信長を本能寺で生かしたが、その後も生かし続けることはできなかった。それは織田信長が当然のことながら男だったからだ。今回は男信長は死ぬが(首がないつじつまがあう)女信長が生き延びる。同じく死んだと見せかけた明智光秀と手に手を取って逃げて、女信長が救われる。明智光秀もまたちゃんと生き延びていた話があるから都合がいい。18年の叡山暮らしの末、天海僧正と名乗って家康、秀忠の前に現れるという話があって、娘細川ガラシャの復讐のために秀頼を憎み続けるという。この光秀をボクは半ば歴史として信じている。
徳川家康は関ヶ原で死に、それ以後の家康は影武者だったという話や、秀頼が大阪城夏の陣から舟で脱出した話や、石田三成の知将、島左近が生きていた話や、柳生十兵衛が傀儡師の頭領に切られて果てたという話などが好きである。いま私たちが知っている日本の歴史がほんとうに真実なのかどうかの確かな保証はない。歴史は人の手によって書かれたものだから疑ってみてもいい。あるいは事件の流れは歴史に書かれた通りだけれど、その時交わされた歴史人物同士の会話は、私たちが知っている流れとはぜんぜん違った内容であったかも知れない。
もしかすると伝奇小説に書かれたドラマが歴史のほんとうにほんとうの真実だったかもしれない。このドラマを見終わった後、信長が女だったという奇想天外な発想をあなたは信じるかも知れないといううたい文句は本当だった。テレビドラマ「女信長」は自分と波長が合って最高に面白かった。男役と女役を演じた天海祐希の颯爽とした信長は、彼女の代表作となった。たくさんの素晴らしい共演者が役所にぴたりとはまっている。戦闘場面は迫力があり、衣装も美術も群を抜いて見事だ。大河ドラマのNHKが1年かけてもたもたしているドラマ作りをフジテレビはたった2晩で堪能させてくれた。随分沢山のコマーシャルをカットした録画VTRは大切にしたい。
by kumamotoyukioch
| 2013-04-07 22:17
| テレビドラマ