宅配ミステリー |
「そんなことあるかいな、北側にも配達車、止まってなかった?もいちど見てきてみ?」「おかしいなあ、宅配受け取りに下まで降りたことないねんけどなあ」。家内は再び下へ降りる。入れ違いに佐川急便から電話②「あのお、待ってるんですけど」「はいはいただいま、いま家内が下に降りましたから」。
その間およそ10分。しばらくするとクロネコヤマトがドアを開いて「お届け物です、いま奥さんが下でハンコ押してくれはりました」「あれえ、クロネコさん?佐川急便さんと、ちごたんかいな?」「オクサンも下で、佐川急便さんを探してはりましたけど、見かけまへんなあ」。
ああ、またまた佐川急便から電話③。「もうずいぶん長い間玄関で待ってるんですけど、オクサン、もしかして降りてくる途中で足の骨でも折って、動かれへんのとちゃいますか?」「そんなことあるかいな、うちはエレベータやでえ、さっきから家内、上がったり下りたりしてるがな」
「ほんまでっか?ここのお家、とてもエレベータがあるとは思えまへん」「ええ?あんた!いったいどこに居るんや?ははあ、わかった!そこはなあ、前の家や。悪いけどなあ、そこにはいま、誰も住んでへんのや。つい最近、うちら引越ししたんや」
「な~んやそうでっか、ピンポン鳴らへんからおかしと思いましたんや、心配しましたがな。ほなら、いまはどこでんねん?ああそうでっか、マンションわかります、ついこないだお届けしたばっかりですがな、すぐそっちへ回ります。荷物?はい、葡萄です!」。