2014年 07月 15日
徒然草第百九段 |
[我流訳・徒然草第百九段]
名のある棟梁が指図して、高い木に人を登らせ、枝を切らせていたが、危ない所にいる間はなにも言わず、軒の高さあたりまで降りてきたときに「気をつけろ、注意して降りろ」と声をかけたので、「これくらいなら飛び降りることだってできる。なぜそんなふうに声をかけるのか」と聞くと、「そのことでございます。目がくらみ、枝も折れそうな高さなら、自分で用心するものですが、危ないのは安全な所です」と答えた。(なるほどなあ)
[徒然草第百九段]
高名の木のぼりといひしをのこ、人をおきてて、高き木にのぼせて梢を切らせしに、いと危く見えしほどは言ふ事もなくて、降るる時に、軒長ばかりになりて、「あやまちすな。心して降りよ」と言葉をかけ侍りしを、「かばかりになりては、飛び降るるとも降りなん。如何にかくいふぞ」と申し侍りしかば、「その事に候。目くるめき、枝あやふきほどは、おのれが恐れ侍れば申さず。あやまちは、安き所になりて、必ず仕る事に候」といふ。
by kumamotoyukioch
| 2014-07-15 20:30
| 文学