をとめのすがた しばしとどめむ |
そうじょうへんじょう
僧正遍昭 (出典 古今集)
天つ風雲のかよひ路吹きとぢよ
をとめの姿しばしとどめむ
あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ
をとめのすがた しばしとどめむ
《我流抄訳》
風よ
雲の階段を閉ざしてくれ
天女をしばらく
帰したくないのだ
《我流意訳》
大空の風よ
雲を抜ける通路の
扉を閉めてくれ
天女とも見まごう
乙女たちの舞い姿を
いましばらく
眼に焼きつけて
おきたいのだ
《内緒話》
華やかな宮廷行事の舞姫にすっかり心を奪われた僧正遍昭は、坊主めくりでやっぱり「いや~」と嫌われる存在だ。こんなに分かりやすい歌が詠める名手なのに、小野小町はどうして意地悪したのだろう。実は、この叡山の高僧、僧正遍昭というひとは、出家する前は「深草少将」と呼ばれ、小町伝説にその名が残るひとなのです。