2018年 08月 04日
ながくもがなと おもひけるかな |
小倉百人一首 歌番号=50
ふじわらのよしたか
藤原義孝 (後拾遺集 )
君がため惜しからざりし命さへ
長くもがなと思ひけるかな
きみがためをしからざりしいのちさへ
ながくもがなと おもひけるかな
《我流抄訳》
あなたのためなら
捨ててもいいと
思っていたこのいのち
いまは少しでも
長らえたいと
願うわたしです
《我流意訳》
あなたに
逢うためなら
このいのち
惜しくはないと
思っていたけれど
いまは
そのいのちさえ
長らえたいと
願うように
なりましたよ
《内緒話》
かつては恋のためなら、命を捨てても惜しいとは思わなかったわたしですが、願いがかなった今では、できるだけこの命長らえ、あなたと長く愛しつづけていたい、初めてそんな気持ちになりました。後拾遺集の詞書に「女のもとより帰りてつかはしける」とあります。逢瀬の願いがかない、一夜を過ごした女のもとから帰ったあとに贈った幸せ一杯の「後朝(きぬぎぬ)の歌」です。
「後朝の歌」でさえなければ「最初は命がけのつもりだったけど、あの女、別に命をかけるほどのことはなかったよ。だから長生きさせてもらいます」なんて、無理に真逆の解釈もできそうです。それだけ「後朝の歌」というのは、わたしたちにとって、まず経験のない昔のロマンの世界です。切なく苦しい恋の思いが、願いかなってうれしさいっぱい。若者は恋に生きる喜びを初めて知りました。藤原義孝(ふじわらのよしたか)謙徳公の子で、藤原行成の父。「末の世にもこれほどのひとは現れないだろう」とうたわれるほどの美男で人柄もよく愛されながら、流行病のため二十一歳の若さで夭折しました。信心深く、極楽往生したと伝えられています。この歌で、恋に生き、愛に生き、いのち長らえたいと希望しながら、儚い人生でした。
ふじわらのよしたか
藤原義孝 (後拾遺集 )
君がため惜しからざりし命さへ
長くもがなと思ひけるかな
きみがためをしからざりしいのちさへ
ながくもがなと おもひけるかな
《我流抄訳》
あなたのためなら
捨ててもいいと
思っていたこのいのち
いまは少しでも
長らえたいと
願うわたしです
《我流意訳》
あなたに
逢うためなら
このいのち
惜しくはないと
思っていたけれど
いまは
そのいのちさえ
長らえたいと
願うように
なりましたよ
《内緒話》
かつては恋のためなら、命を捨てても惜しいとは思わなかったわたしですが、願いがかなった今では、できるだけこの命長らえ、あなたと長く愛しつづけていたい、初めてそんな気持ちになりました。後拾遺集の詞書に「女のもとより帰りてつかはしける」とあります。逢瀬の願いがかない、一夜を過ごした女のもとから帰ったあとに贈った幸せ一杯の「後朝(きぬぎぬ)の歌」です。
「後朝の歌」でさえなければ「最初は命がけのつもりだったけど、あの女、別に命をかけるほどのことはなかったよ。だから長生きさせてもらいます」なんて、無理に真逆の解釈もできそうです。それだけ「後朝の歌」というのは、わたしたちにとって、まず経験のない昔のロマンの世界です。切なく苦しい恋の思いが、願いかなってうれしさいっぱい。若者は恋に生きる喜びを初めて知りました。藤原義孝(ふじわらのよしたか)謙徳公の子で、藤原行成の父。「末の世にもこれほどのひとは現れないだろう」とうたわれるほどの美男で人柄もよく愛されながら、流行病のため二十一歳の若さで夭折しました。信心深く、極楽往生したと伝えられています。この歌で、恋に生き、愛に生き、いのち長らえたいと希望しながら、儚い人生でした。
by kumamotoyukioch
| 2018-08-04 20:09
| 文学