2018年 09月 13日
とやまのかすみ たたずもあらなむ |
小倉百人一首 歌番号=73
さきのちゅうなごんまさふさ
前中納言匡房 (後拾遺集)
高砂のをのへの桜咲きにけり
外山のかすみ立たずもあらなむ
たかさごの をのへのさくら さきにけり
とやまのかすみ たたずもあらなむ
《我流抄訳》
遙かな峰の
桜が咲いたよ
かすんでしまうから
霞よ 近くの山に
立たないでくれ
《我流意訳》
遙かな山の
いただきに
山桜が咲いた
かすんでしまうから
里山の霞よ
どうか立たずに
がまんしてくれ
《内緒話》
詞書に「遥かに山の桜を望むといふ心をよめる」とあります。この歌にかみつきたい個所はありません。解説を参考書に頼りながら、すらすらと素直に読める歌だと思います。「高砂=高い山」地名ではありません。「尾上(をのへ)=峰」たぶん「尾根」のこと。「外山(とやま)=人里近い低い山、里山」「霞(かすみ)=春にたつ霧(きり)」のこと。春は「かすみ」と呼び、秋は「きり」と呼びます。遠い山と近くの山の遠近感、霞(かすみ)を擬人化して話しかける趣向が、この歌の魅力なのでしょう。権中納言匡房(ごんちゅうなごんまさふさ)大江匡房(おおえまさふさ)は、大江匡衡(まさひら)赤染衛門夫妻の曾孫です。白河院の近臣として重用され、儒家出身ながら正二位権中納言まで出世しました。
さきのちゅうなごんまさふさ
前中納言匡房 (後拾遺集)
高砂のをのへの桜咲きにけり
外山のかすみ立たずもあらなむ
たかさごの をのへのさくら さきにけり
とやまのかすみ たたずもあらなむ
《我流抄訳》
遙かな峰の
桜が咲いたよ
かすんでしまうから
霞よ 近くの山に
立たないでくれ
《我流意訳》
遙かな山の
いただきに
山桜が咲いた
かすんでしまうから
里山の霞よ
どうか立たずに
がまんしてくれ
《内緒話》
詞書に「遥かに山の桜を望むといふ心をよめる」とあります。この歌にかみつきたい個所はありません。解説を参考書に頼りながら、すらすらと素直に読める歌だと思います。「高砂=高い山」地名ではありません。「尾上(をのへ)=峰」たぶん「尾根」のこと。「外山(とやま)=人里近い低い山、里山」「霞(かすみ)=春にたつ霧(きり)」のこと。春は「かすみ」と呼び、秋は「きり」と呼びます。遠い山と近くの山の遠近感、霞(かすみ)を擬人化して話しかける趣向が、この歌の魅力なのでしょう。権中納言匡房(ごんちゅうなごんまさふさ)大江匡房(おおえまさふさ)は、大江匡衡(まさひら)赤染衛門夫妻の曾孫です。白河院の近臣として重用され、儒家出身ながら正二位権中納言まで出世しました。
by kumamotoyukioch
| 2018-09-13 13:29
| 文学