2018年 10月 16日
やくやもしほの みもこがれつつ |
小倉百人一首 歌番号=97
ごんちゅうなごんさだいえ
権中納言定家 (新勅撰集)
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに
焼くや藻塩の身もこがれつつ
こぬひとを まつほのうらの ゆふなぎに
やくやもしほの みもこがれつつ
《我流意訳》
待てども来ない人を待つ
松帆の浦の夕凪に
身も焦がれつつ
藻塩焼く
《我流抄訳》
松帆の浦の夕凪に
藻塩焼く
身も恋に焼く
わたしです
《内緒話》
松帆の浦の浜の乙女は、海が静かになる夕なぎの時刻、藻塩を焼いています。乙女はぼんやりと、その立ち上る煙を見ています。まるでわたしの心が恋の炎に焼かれて空に舞い上がっているのです。いくら待っていても来てはくださらないひとだけど、それでも藻塩の煙は、いつかあのかたがおいでになる方角の空にたなびいています。この歌は男性が、恋する乙女のこころを推し量って詠んだ歌です。「松帆の浦」は「歌枕」。淡路島の北端にある海岸です。「松」と「待つ」が掛詞になっています。海水を注いで日干しにした塩分たっぷりの海藻を焼いてから、それを水に溶かした上澄みを、釜で煮つめて塩を作りました。これが藻塩です。
ごんちゅうなごんさだいえ
権中納言定家 (新勅撰集)
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに
焼くや藻塩の身もこがれつつ
こぬひとを まつほのうらの ゆふなぎに
やくやもしほの みもこがれつつ
《我流意訳》
待てども来ない人を待つ
松帆の浦の夕凪に
身も焦がれつつ
藻塩焼く
《我流抄訳》
松帆の浦の夕凪に
藻塩焼く
身も恋に焼く
わたしです
《内緒話》
松帆の浦の浜の乙女は、海が静かになる夕なぎの時刻、藻塩を焼いています。乙女はぼんやりと、その立ち上る煙を見ています。まるでわたしの心が恋の炎に焼かれて空に舞い上がっているのです。いくら待っていても来てはくださらないひとだけど、それでも藻塩の煙は、いつかあのかたがおいでになる方角の空にたなびいています。この歌は男性が、恋する乙女のこころを推し量って詠んだ歌です。「松帆の浦」は「歌枕」。淡路島の北端にある海岸です。「松」と「待つ」が掛詞になっています。海水を注いで日干しにした塩分たっぷりの海藻を焼いてから、それを水に溶かした上澄みを、釜で煮つめて塩を作りました。これが藻塩です。
万葉の長歌に「淡路島の松帆の浦に、朝凪に玉藻を刈り、夕凪に藻塩を焼く、海人娘子(あまおとめ)がいる、見に行こう」という歌があり、これを本歌にしているとのことです。権中納言定家(ごんちゅうなごんさだいえ)は藤原定家のこと。俊成の子。「新古今集」の撰に加わり「小倉百人一首」を編纂しました。言うまでもなく平安末期から鎌倉初期の代表的歌人。ここに自分の歌を自分で選んだのですから、自信作なのでしょうね。自由詩に置き換えるの、結構難しかったです。
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by kumamotoyukioch
| 2018-10-16 12:20
| 文学